五城目の朝市を歩いていると、出店者とその間を練り歩く人々の織り成す賑わいの中で、ふと、笛の音が聞こえてくることがあります。唐突に流れてくる美しい音色のする方へ目をやると、宝石のように輝くキイチゴのジャムの詰まった可愛らしい瓶が並び、その傍らにフルートを吹く佐々木千佳子さんの姿が。

もはや朝市名物となりつつあるこの光景も、すべては千佳子さんの「好きなことをやりながら、みんなににこっと笑ってもらうために」という思いから。五城目の奥まったところになる恋地集落で10年前からキイチゴの栽培を始め、現在はキイチゴ農家の有志が集う研究会で栽培方法を指導する立場に。ジャムは最近手掛けるようになったものですが、今では人気を博し東京や仙台でも取り扱われるようになっています。キイチゴを活用したお手軽レシピを教える料理教室も開催し、もっとキイチゴを広めたいと積極的にチャレンジしている千佳子さん。その姿が実にイキイキとしているのは、本人もおっしゃる通り、あくまで楽しみとやりがいを大事にしているからかもしれません。

「恋地の木々や花々の香りに包まれた美味しい空気と、ゆったりと流れる時間が好き」と語る千佳子さん。最近五城目に移住した人たちとの交流も深く、よそ者扱いしないその姿勢で、自然と人の輪を広げていくお人柄に触れてみたい方、ぜひぜひ気軽に話しかけてみてください。

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